ブラジルの「仮出獄」は、ノー・リターン
ブラジルに、犯罪が多いことは有名だろう。
当然、捕まれば、刑務所に入りそれなりの刑期を過ごしてもらうわけである。
刑罰に、死刑はない。
実際には、刑期はかなり短縮されて出てくるようだ。
刑務所がいっぱいで、入りきれないからだという話がある。
さらにブラジルは優しい国だと思うのは、
時々、1週間とかの期限を与えて、「仮出獄」を認めることがある。
「クリスマス」とか「イースター」も理由になる。
家族と過ごす機会を与えるのである。
「母の日」も、この仮出獄の機会になっている。
さて、
サンパウロでは、今年の母の日にあわせて、11,146人が金曜日(5月6日)の午後までに「仮出獄」したそうである。
そのうちの3名が、早速サンパウロ東部のVila Matildeというところで、”電撃”誘拐をやってしまった。
”電撃”誘拐というのは、最近はやっているタイプの誘拐で、
そのあたりの人間を捕まえて、銀行などに行って金をおろさせたり、クレジットカードでものを買ったりしたあとに、解放するというもので、短い時間の誘拐なのである。
当然、被害金額もそう多くない。
今回は、被害者は45歳の女性マッサージ師で、被害は12000円程度のものであった。
14時に事件を起こして、目撃者がいたために、16時には捕まってしまった。
日曜日には、家で過ごすために「仮釈放」されていたのに。
犯人は Célio Alex dos Santos, 23歳, Levi Almeida de Moraes, 32歳, そしてAfonso Henrique da Silva, 27歳。
逮捕されたときには, SantosとSilvaは、ATMでお金をおろしているところであり、Moraesは被害者とすぐ近くの道を歩いているところであった。
被害者にけがはなかった。
容疑は、誘拐と強盗である。
刑務所管理局によると、そのほかの11,143名の「仮釈放」者は、ほとんど月曜日には戻るだろうとのこと。
昨年2004年の母の日には、9811名が「仮釈放」されて、6.5%の636名が戻らなかったとのこと。
昨年1年では、54,695名の「仮釈放」者のうち、7.4%の4,065名が戻らなかったとのこと。
今年の復活祭では、10.937名が「仮釈放」されたということだが、7.8%の851名が戻らなかったという。
ちなみに、この3名の誘拐強盗容疑者のうち2名には、一緒に過ごすはずの母親はもう亡くなっていたとのことである。
ブラジルは優しい国である。
このような状態でも、この制度を続けていくようである。
The comments to this entry are closed.
Comments