ブラジル・サンパウロの殺人が5年で急減 その2
ブラジル・サンパウロ市での殺人事件により死者は、1999年から2004年までに急減している。
このことはよいことなのであるが、まだその比率は世界の他の大都市に比べてダントツに高い数字を示している。
サンパウロ市全体で、人口10万人当たり36.93人となっている。
この数字も、サンパウロの地区によってずいぶんと異なるのである。
もっとも殺人率が低いのが、サンパウロ中心部といっても良いコンソラソン地区で、人口当たりでは東京の1.9には及ばないが、1.9人となっている。
この地区は、イジェノポリスという古くからの最高級アパート街の一つとパカエンブーという最高級住宅街の一つを含んでいる地区であり、一部にはいささか不気味なところもないわけではないが、総じて落ち着いたところである。(下の地図では26番である。)
実は、拙宅はこの地区に属している。
地区別に、比率で色分けした地図がある。
一目でわかるのが、周辺部が危険が最も高いということである。
周辺部は、社会の周縁部でもあるファヴェーラという貧民層の住宅が多く、そこでは麻薬組織の抗争や警察との撃ち合いなどで死者が多いようだ。
もう一つ、危険度が高いのは、市内中心部のセントロ、ブラス、ボン・レチーロと呼ばれているところである。
サンパウロでは、かつての中心部が空洞化する中で、スラム化しており、そこにも貧困層が非合法に建物を占拠して住み着いているのが多いのである。
反対に、危険度が低いのが、セントロの西から、南に広がる、地域である。
業務地区や高級アパート街や高級住宅街となっている。
貧困層が住むファヴェーラは、サンパウロの拡大と共にどんどんと外に広がっている。
市内にも、かつて目につくところにも在ったことがあったが、徐々に立ち退きを迫られたりして、さらに遠くへと移動している。
また、古いファヴェーラでは生活の向上により、一見してファヴェーラとは思えなくなっているものもある。
市内最南部や最東部では、サンパウロ市中心までバスで、1時間半以上はかかるところもあり、市内中心部で働くことも、犯罪を起こすことも簡単ではない。
益々外縁部に置き去られている。
サンパウロ市周辺の都市にも、ファヴェーラは、とっくの昔に市境を越えて、拡大している。
いずれサンパウロ市の事件は減るだろうが、周辺諸都市はとてつもなく危険なところになるだろう。
すでにその兆候は出ているのである。
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