ブラジルの「銃による殺人犠牲者が、8.2%も減った。 その2 新聞
ブラジルでの「銃による殺人犠牲者」が、2004年には前年に比べて8.2%も減ったと、テレビのニュースが伝えたのは、9月1日であった。
それは、とても良い傾向だと思った。
翌日の新聞には、この件がより詳しく出ていた。
その記事を見て、素直に喜べないことを知った。
この13年間、ずっと銃により殺人犠牲者は増え続けており、2004年に初めて減ったということには違いはない。
だが、1992年から2003年の間に犠牲者は2.3倍にもなっていたのである。
1992年には、16,729人だったのが、2003年には39,325人にもなっているのである。
2004年に減ったといっても、36,091人。
2000年の34,985人よりも多いのである。
2004年に8.2%減ったといっても、これからも減るとは限らないのである。
この2003年の39,325人にも上る犠牲者のうち、半分以上が10歳から29歳までの若年層である。
10-14歳 475人
15-19歳 6637人
20-24歳 9710人
25-29歳 6884人
合計 23706人(60.3%)
そして、これらの年齢層の死亡率に占める割合は次の通りである。
10-14歳 8%
15-19歳 34%
20-24歳 35%
25-29歳 26%
この年代では、病気による死亡はそう多くないはずで、交通事故とかが多いはずなのであるが、銃による死亡率も恐るべき比率となっている。
2004年には、多くの州で犠牲者は減ったのは事実である。
「銃器の廃棄運動」の効果も出ているに違いない。
特に人口の多いサンパウロ州などで減ったことで全体の減少に寄与している。
しかし、増えている州もあるのである
アマパ州などは29.3%も増加している。
パラ州、ロンドリニア州などどちらかというと辺境の州が多い。
警察権力の及ばないところで、農場主と「土地無き農民」などの対立が激しいところが多い。
テレビのニュースだけ見ていると「よいニュース」と思えたが、新聞の記事を読むと「吉報」でもないことがわかった。
テレビと新聞の違いがよくわかった報道であった。
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