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sábado, 3 de dezembro de 2005

ブラジルの「復讐」

ブラジルでは、「復讐Vinganca」が怖い。

復讐が怖いから、みんな口をつぐんでしまうのだ。

11月29日の夜、リオ・デ・ジャネイロ北部で、バスが燃えた。
燃えたのではなく、焼かれたのである。
そして、乗客5人が死んだ。
まだ、2人の身元がわかっていない。

普通の市内を走っているバスである。
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事件はこうだ。
バスは、未成年の男女が手を上げたので、乗客だと思い、ドアを開けた。
そしたら、別の若者が乗ってきて、ガソリンを撒いた。
乗客にもガソリンをかけた。

乗客たちはあわてて降りようとしたが、入り口も非常口も、銃器を持った別の若者がかためていた。
降りることが出来ないようにしていたのだ。
初めから、乗客を焼き殺すことを狙っていたのである。

そして、火を付けた。
幾人かの乗客は、そうした中でも窓を割ったりして、逃げおおせた。
でも火傷を負ったものも多い。

リオ・デ・ジャネイロでは、こういったバスを焼く事件は頻繁に起きているそうである。
しかし、乗客は降ろしたあとに、焼くのが今までの事件である。
この事件の真相は何だったのか。

最初に手を上げてバスを止めた未成年の少女の身柄が今日12月3日に確保されて、自供が報じられた。
「復讐」だという。

それも、「警察」に対する復讐である。
警察が、麻薬組織の取り締まりをやっているのは、毎日のことである。
その取り締まりの中で、「死者」がでるのも、ほぼ毎日のことである。

つまり、この若者達は、仲間の1人が取り締まりの中で警察に殺されたことに対する、「復讐」として、バスを焼いて5人を殺したのである。
何とも、やりきれない理屈である。

通常、麻薬組織はファヴェーラの中に根を張る。
そこに、警察が取り締まりのために侵入してくるのであるが、なかなか住民達の協力を得ることが出来ない。
それは、麻薬組織がファヴェーラの暮らしを守っていたり、時にはパーティーを主催したりと、住民達にとって害があるどころか、役に立つからである。
他の組織が入り込んで混乱が起きたり、警察がやたら目ったら弾を打って巻き添えになるのを嫌い、平和な暮らしを住民達はしたいだけなのである。
失業率の高いファヴェーラでは、麻薬だろうが何だろうが「生活の糧」になるのであれば、それは認めざるを得ない。

だが、今回のように無関係の乗客を犠牲者にしたのでは、「約束」が全く違ってくる。

さて、11月26日に、サンパウロ東部の薬局で事件が起きた。
日が暮れた頃、薬局の前に2台の車がとまり、中に向かって銃を乱射した。
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薬局の警備員は、5発の弾を食らったが、重傷ですんだ。
でも、中にいたお客の連れていた子供が死んだ。

実は、この事件の更に1週間前に、この薬局を強盗が襲った。
この警備員が、応戦し、その強盗の内の1人を射殺した。

そしたら、数日後に、その殺された強盗の妻がやってきて「復讐」してやると、店の中や周辺でわめき散らしていったそうだ。
この薬局の近くの商店もそのことを知っており、何か起きるのではないかと恐れていたそうだ。

警察では、正しく「復讐」であろうとみている。

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ブラジルの東北部の小さな街では、二つの憎しみ合っている家族が、復讐に復讐を重ねているといることもあるという。

触らぬ神に祟りなし。
近づかないことが大事なことである。

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Comments

強盗して殺されたくせに、その妻が復讐を誓うなんて、本末転倒ですよね。
口を慎めって感じだけど、そういう感覚は持ち合わせてないんですね。

実は隣人、こっちに越してくる前の前の前だか、
日系人に雇われていたのですが、そこでDONO宅に泥棒が入ったのに応戦して
泥棒を殺害。  その1週間後復讐に戻ってきた泥棒の仲間が夕刻、後ろから襲ってきたところを射殺(ピストルを持ち歩いていたそうです)。
警察沙汰にもなり、有り金をはたいて弁護士を立てて罪には問われなかったものの、
身の危険もあり、その雇われ先を出て転々とし、現在うちの土地に住んでいるのですが、あまりかかわりたくないですね。

ちなみに、この話は内緒ですよ。


Posted by: DINDINHA | domingo, 4 de dezembro de 2005 00:17

>DINDINHA様
もちろん秘密にします。
この事実を知ってしまっただけでも、恐ろしいです。
「復讐」が多いというのは、何ですかね。
司法を信用していないからですかね。
おとなしく暮らすしかないですね。

Posted by: Sao Paulo | terça-feira, 6 de dezembro de 2005 12:19

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Tracked on terça-feira, 6 de dezembro de 2005 08:14

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