ブラジル・サンパウロでの警察への攻撃 その8 再開
5月12日(金)の夜から、ブラジル・サンパウロ州の各地で起きた、犯罪組織首都第一軍団(PCC)によるものとおもわれる警察施設もしくは警察官への襲撃、刑務所での反乱は、5月16日の朝までに一旦は収束していた。
報道でも、そのように見えた。
事件の報道ではなく、事件がどうして起きたかとか、責任の所在であるとか、再発の防止策とか、そういったことが報じられていた。
今日(5月17日)になって、
刑務所の反乱の際の要求の中に、「母の日の外出許可」とか「ワールドカップの試合観戦のためのテレビ市長の許可」とかが報じられているのだが、要求はそんなことだけではなかったはずだ。
このように「面白いところだけ」報じるようなマスコミには、悲しさを感じる。
そういうところだけを、日本に報じて、またその「おもしろさだけ」が一人歩きしていくのである。
また、こういったことだけが、ブラジルについてのあらたな伝承になるかと思うと残念でならない。
7月15日(月)の未明から、襲撃対象がバスや銀行支店などにも広がったことで、一般市民へも「一連の事件」の恐怖が広がったようだ。
事情通が、随分と流言飛語も流したようだ。
気付かない人は気付かなかったし、また反対にパニックになった人もいたというのが、実際のところだったのだろう。
でも、多くの市民は月曜日の夜はひっそりと過ごしたことは事実だった。
いつもは開いている商店も、レストランも、映画館も、営業を見合わせてしまったのだから。
企業も、学校も早じまいをした。
でも、これは「戒厳令」とはまったく違う。
類似どころか一切の布告がでた事実は全くない。
サンパウロに、軍が展開したわけではなかった。
警察だけで対応した。
先般のリオ・デ・ジャネイロとは違う。
その時のリオ・デ・ジャネイロでも、戒厳令がでたわけではなかった。
このブログでは、なるべく事実には正確でありたいと務めている。
何が実際に起きたのか、起きていないのか。
噂は何だったのか。 事実は何だったのか。
言葉の壁や、噂の元の怪しさで、随分と翻弄された人もいたようだが、それはあくまでも個人的なレベルの問題で、サンパウロ市を覆い尽くしたわけではない。
何よりも、人々はただ帰路を急いだだけだった。
いろいろな国であるパニックに際して起きる略奪行為などは起きていないのだ。
せいぜい、バスに乗り込むときに先を争っただけだ。
むしろ非常に冷静に行動したと言えるのではないだろうか。
個人的な体験と、事実とは明確に分けておきたかった。
襲撃は確かにサンパウロの各所で起きたが、それはピンポイントで起きたものに過ぎない。
暴動は、刑務所の中だけで起きた。
対象が無差別であったことはないし、面で広がったものではなかった。
現象は、正確に把握するべきだ。
それから、分析が始まる。
そして、対策だ。
一番難しいことだ。
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事件が収まってきたので、まとめてみようと思っていた。
だが、サッカーネタにかまけてしまって、そちらに時間を費やしていたら、また騒がしくなってきた。
5月17日(水)の夜から、また不穏な動きがある。
再び襲撃があるという、噂が流れたようだ。
そうして、サンパウロの周辺都市(オザスコ市など)で、警察署襲撃やバスの焼き討ちなどの事件が実際に何件か起きたという報道がある。
とりあえず大規模には広がっていないようだ。
なかなか完全には収まってくれないようだ。
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拙宅の近くのイジェノポリスの警察署の前は、今日(5月17日)の日中も、道路は規制されていた。
警察官が、一昨日と変わらぬ警備を続けていた。
市内のルース地区にある警察署前を通ったのだが、そこでも車線を規制していた。
市内北部の警察のDEIC(組織暴力捜査本部)本部のあるサンタナ地区は、大規模な規制が引かれているので、付近は大渋滞であった。
この時点では、警察の緊張はまだ完全に解けていなかった。
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Comments
こんにちは、いつもブラジルの最新の情報
を提供していただいてありがとうございます。
ブラジルのマフィヤはついに警察も襲うように
なったんですね。私が年末にサンパウロにいた
ときもそのような動きがあったんですが、本格
的になっていますね。ブラジルの今回の騒動
ですが日本でもほんの少しですが、テレビで
やっていました。しかし、今年はじめに起きた
バスの焼き討ち事件の日本での報道の仕方は、
ひどいものでした。ニュースのコメントをする
人がいないのか、内容がでたらめでした。
ポルトガル語が訳できていないようでした。
こんなことが、なければブラジルていい国なん
だけどなー。
Posted by: カルロス | quinta-feira, 18 de maio de 2006 21:41
>カルロス様
ブラジルのニュースなんて、普通は自前の映像でもないし、空き時間つぶしでしょうからね。
今回は、一般市民が襲われたわけではないので、そういう意味ではかえって平和だったんですよ(多分)。
便乗して事件を起こしたのもいたかもしれませんが、気の弱いのはやっぱりおとなしくしていたと思うんです。
いつも以上に警察に撃たれる可能性があったでしょうからね。
Posted by: Sao Paulo | domingo, 21 de maio de 2006 16:21