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sexta-feira, 12 de maio de 2006

ブラジルとボリビア間の問題

ブラジルは、外交は下手ではないと思っていた。
日本にいる人には想像も付かないことだろうが、国際政治では国力以上の存在感を持っている。
何よりも、国際連合の原加盟国の一つだ。

国際連合の安全保障委員会の常任理事国の候補として名前が挙がったりするわけだが、それも違和感がない。

国境を接する近隣諸国とも、国境問題などもなく、関係は普通に良好であった。
大国なので国境を接している国は多いが、実際にその存在を意識するのは、南部国境を接しているアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイまでで、その他の国についてはアマゾンなどが自然国境としてあり、現実の交通手段もなく付き合いもあまりなかった。
国境付近での麻薬組織の活動を、お互いの軍で取り締まろうなんて、話をしていることが話題になるくらいだった。 コロンビアやペルーとの話だ。

国境問題も独立前に解決していたこともあるし、その後にもそれなりに解決されていた。
当時は、人も少なく、資源問題もなく、辺境だったので、おそらく解決は難しくなかったのだろう。

今のウルグアイの地を求めてアルゼンチンと争ったこともあるし、パラグアイがブラジルを含めた3国と戦争を行って壊滅的な損害を受けた戦争もあったが、それも100年以上前の話だ。

アルゼンチンとは、潜在的にそして顕在的にライバル心を持っているが、だからといって国境に軍が張りついているようなことはない。

でも、このところ急激にボリビアとの関係で問題が噴出している。

それもほとんどがボリビアから惹起された問題ばかりである。

おそらく、こんな南米の「小国同士」の紛争など、日本では全く報道されないだろうから、軽く触れておく。

①製鉄所
ボリビアとブラジルの国境にある、ボリビアの街にブラジルの資本で製鉄所が建設されていた。
地元の人たちは、雇用は増えるとして喜んでいた。

だが、ボリビア政府が、突然ほぼ完成していた建設をストップさせた。
環境に関する法律に違反しているというのである。

何よりもこれに反発したのは、この地域の住民である。
国境を閉鎖するなどの、抗議行動を行った。
ボリビア政府は、この抗議行動に、ブラジルからの扇動があるといった。

工事が止まり、この街はあっという間に活気が無くなった。

②炭素燃料(石油、天然ガス)の国有化宣言
ボリビアは、南米では最貧国だ。内陸国である。
世界一の銀山ポトシがあったのは、400年も前のことだ。
そのボリビアに、石油と天然ガスがある。
でも、採掘する資本と技術そして、市場がない。
1990年代の始めに、これらの開発を外国に解放した。
(それまでは、国有化されていたのだ。)
隣国のブラジルを筆頭に、外国企業が合法的に進出し、操業を始めた。

ブラジル国営の石油会社のペトロブラスは、
ブラジルに3つの採ガス所と、2つの精油所などを持った。

ボリビア国内のガソリンは、この2つの精油所から供給される。
ボリビアの25%のガソリンポストは、ペトロブラスの直営である。

ボリビアからブラジル南部には、天然ガスの輸送パイプが延びている。

ブラジルの天然ガスの50%が、ボリビア産だ。

ボリビアは、国有化を宣言し、進出企業に対して、180日以内契約を締結し直すか、さもなくば撤退するようにとの選択肢を示した。

この国有化宣言の2日後に、アルゼンチンのプエルト・デル・イグアスで、ボリビアとブラジルとアルゼンチンと何故かそれにベネズエラの大統領が会談を行った。
ボリビア大統領は、ベネズエラ大統領の飛行機に乗ってやって来た。
この会談では、ボリビアの国有化宣言も認めることが確認された。

この会議を含めて、ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァの本件に対する対応については、議会内の反対派などから徐々に非難の声が高まっている。

③アクレ州
ブラジルのアマゾン地区のボリビア国境にアクレ州というところがある。
小さな州だが、どんどん開発が進んでいる州でもある。

元々ここはボリビア領であった。
それを130年前ほどに話し合いで、ブラジルが購入している。
(当時何か係争があったので、こういう解決をしたことが想像できる)

両国にとって辺境なのだが、
人間の活動というものは、国境などという人為的なものはどんどん越えていくもので、
ボリビア領で森林の伐採をして牧畜などをやっているものなどが増え、
非合法に住んでいるものが数万人になっていた。

これとて、資本と技術のあるブラジル人がボリビアの開発をおこない、ボリビア人を雇用したという面があるのだ。

さすがにこの件については、1年掛けて解決をしていくという話し合いが両国の間で出来ていたらしいのだが、今週になって、即刻退去するようにと、ボリビア政府が発表した。

その発表の中に、過去に触れた部分があって、問題を起こすのかと、ブラジルではちょっとした緊張感が走った。

④ペトロブラスは、非合法活動をしていて、反憲法的。
国有化宣言によって、一番損害を被るのは、ペトロブラスである。

ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァが何を言おうが、実際に多額の投資を行ったのはペトロブラスである。
ペトロブラスのボリビアの拠点に、軍隊が進駐してきたのである。
ボリビア国旗は引き続き掲げられ、ペトロブラスの旗は掲揚されなくなった。

ペトロブラスの社長は猛反発している。
国際契約の常識に反しているというのである。
180日以内の交渉などといっても、価格の変更は認められないと言った。
何しろ需要家への供給価格を長期契約で保証しているので、ボリビアの原料価格が上がると、事業としては成り立たなくなるのである。

その交渉が、始まった。

そのさなかに、ボリビア政府は「ペトロブラスが非合法的な活動をし、反憲法的」といった。
何を言っているのか、この時期に突然言い始めるのは言いがかりにも思える。

⑤ウィーン
ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァも、ボリビア大統領も、今ウィーンにいる。
また、会議をすることになるようだ。

ブラジルの外務大臣は、駐ボリビア・ブラジル大使の召還も否定しないとまで言っている。

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ブラジルでは報道されてこなかったが、すでにくすぶっていたブラジルに対するボリビアの不満が爆発しているのだろうか。

ブラジルは、知らない間に大国のエゴを押しつけていたのだろうか。

ただ、ボリビア大統領もちょっとファナチックだと思う。
国内問題をすり替えているのだろう。

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Comments

小生もこの問題に関心をもっています。ブラジルとボリビアその他近隣諸国との関係は世界にも影響大です。

Posted by: 星の王子様 | sábado, 13 de maio de 2006 at 11:08

>星の王子様様
お久しぶりです。
時々、思い出したように、真面目なことも取りあげています。
この件は、ほとんど日本では関心を持たれていないようですね。
この件については、これからもフォローしていきます。(多分)

Posted by: Sao Paulo | domingo, 14 de maio de 2006 at 23:00

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