ブラジル・サンパウロの「若者のショー」
拙宅は、サンパウロの中心部に近いパカエンブー競技場の近くである。
このパカエンブー競技場は、サンパウロ市営で、
おもにサッカーの試合に使われている。
それも、ほとんどがコリンチャンスの試合である。
こんなところに住んでいると、大変だろうと思われるようだが、それほどでもない。
コリンチャンスの試合の日であっても、それほどでもない。
”クラシコの”対パルメイラス戦などは、大抵モルンビー競技場で行われるので、
このパカエンブー競技場では、そこまで荒れそうな試合はない。
人が多くなるのは、
選手権の後半でコリンチャンスが優勝に絡んでいるとか、
リベルタドーレス杯南米選手権のような国際試合の時である。
普通は、せいぜい2.5万人もはいれば多い方だ。
だいたい試合の2-3時間前から屋台が開き始めて、
2時間前くらいからかなり気が早い観客がやってきて、
屋台で一杯やり始める。
道路で爆竹をならしたり、花火を打ち上げるのはこのころからだ。
普通の観客は、1時間半前から競技場に入り始めるが、
多くは30分前くらいにやって来る。
試合は、だいたい2時間くらいある。
拙宅にいても、
時折観客の歓声が風に乗って聞こえてくるくらいである。
インターバルは20分ぐらいが普通だ。
試合が終わると、観客はさっさと帰る。
抗議活動や騒乱などよほどの事がない限り、20-30分で静かになる。
だいたい試合が開催されるのは、年間に40日もないのである。
稀に、サントスやパルメイラスやサンパウロFCが主催試合を行う事もあるが、それらを入れてでもある。
今年のように、コリンチャンスが選手権で早々と敗退すると、それだけ試合は更に減る。
サッカーの試合の他に、このパカエンブー競技場は、
コンサートや集会にも貸し出される。
実は、こちらのほうが問題なのだ。
コンサートは、だいたいロック・コンサート。
ブラジルのこういったコンサートは、公演時間が長い。
前座を入れると数時間はやっている。
高い入場料なのでこれくらいしないと観客が納得しないのだろう。
昨年は、2回コンサートがあって24時をすぎるまでやっていたので、
住民が大クレームをして、
22時くらいまでに終了しないと、電気を切る事を約束させた。
この地区の住民は政治的にとても強力だからである。
そして、
もう一つは集会。
これは、宗教の集会だ。
これがまた時間が長い。
6時間はみっちりやる。
何も説教だけで人が集まるわけはない。
音楽コンサート仕立てである。
さて、4月28日(土)のサンパウロは、引き続き寒い。
気温は日中でも20度に達しない。
だが、朝から、パカエンブー競技場付近は騒がしい。
11時頃になると、次々にバスがやってきた。
もしくは何か若者の集団が集まってきた。
スポーツ大会にしては、時間が遅い。
12時、13時とどんどんとバスがやってきて、周辺の道路は大渋滞。
何かなんだかわからないうちに渋滞に巻き込まれた車のクラクションが
更に混乱を増大させる。
バスが動かないので、
次々にバスを降りて歩き始める。
何だろうと、確認しに行った。
"Forca Joven"という標語があるシャツを着た人が、競技場の周辺で集団を整理していた。
だいたい一つの集団は数十人。
ちょうどバス一台分なので、それ毎にまとまっている。
迷子にならないように、手をつないで移動している。
「20070428Universal1.MOV」をダウンロード
だいたいが10代半ばから後半の若者である。
「20070428Universal2.MOV」をダウンロード
「20070428Universal3.MOV」をダウンロード
よく見て分かった。
"Igreja Universal"という文字を見つけた。
ウニヴェルサル教会だ。
ペンテコスタ系(福音派系)では、多分ブラジルで最大のキリスト教系の教団である。
数百万人は信者がいるらしい。
それの若者向けの集会なのだ。
つまり、ほとんどコンサートである。
そういえば、毎年やっているはずだったのだが、忘れていた。
バスの前に
教会の地区名や
このパカエンブー競技場での入り口が書いてあるのだが、
何故か集団は入り口を求めて、競技場周辺を右往左往している。
肝心の集会(ショー)が何時に始まるのか分からないが、
15時半でもまだ入り切れていない。
この集会(ショー)が終わるのは、何時になるのだろうか。
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ここの集まってくる人は、普段この地区ではまず絶対に見ない人たちである。
サッカーの試合だって、学生料金の最低でも8レアルは必要なので、
ある程度の層以上でないと観戦はむずかしい。
今日の集会(コンサート)は、
ブラジルで一般的な1キロの食料を持っていけば入れる事にもなっているようだ。
その食料を販売している人もいた。
この地区では見ない人たちではあるが、
考えてみたらこちらからもその人達が住んでいる地区には行かない。
ウニヴェルサル教会が教勢を増しているのは、
こういう人たちをターゲットとし、信者獲得に成功しているからだ。
ブラジルでも葬式宗教と化している多くの日系宗教もすこしは見習った方がいい。
宗教はこうやっていかなくてはならないのではないか。
ところで、この集団の中に、日系人の姿は見つけられなかった。
いることはいるとは思うのだが。
それにしても、かなりうるさい。
鳴り物を持参している一団もいる。
毎年の事なのだから、
もうちょっとスムーズに競技場内に入るように、誘導できないのだろうか。
ほとんどの者はパカエンブー競技場など来た事がないから、
ゲートの番号が分かっても、それがどこにあるのか分からないのでうろうろしている。
だが、
競技場の周辺で、マコーニャ(=マリファナ)の香りに包まれたぞ。
どうなんだ。
16時をすぎても人はまだ競技場に入り切れていない。
拙宅の前にも列が伸びてきた。
16時45分、
一体始まっているのかいないのか。
拙宅の前にも人がずらっと座り込んで動かない。
何か、諦めているのか期待しているのか
べちゃべちゃと話し込んでいる。
鳴り物も時折さわっている。
諦める事になれているから、
文句も言わないのだろうか。
拙宅周辺は、
今までにない雰囲気になった。
モルンビーの南部に住んでいるとこんな事は良くある事なのだろうが。
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集会(ショー)は、17時半頃に終わったかのようだ。
帰り始めた人がいる。
でも、18時過ぎでもまだ何か宗教っぽい音がしている。
終わっていないのかもしれない。
拙宅の家の前にいた人たちは、
なんでも入れなかったようだ。
わざわざ、こんな遠くまでやって来たのに可哀想な事だ。
もっとも拙宅の前で、
結構宴会を始めていて楽しそうだった。
その人達も、17時半前にはいつの間にか消えていた。
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18時20分過ぎ、
また帰路につく人が一段と増えた。
もうあたりは真っ暗になった。
19時15分、
またクラクションが鳴り渡った。
19時18分、
バテリアの一団が通りすぎている。
カルナヴァルみたいになった。
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