ブラジル・サンパウロ市域内にある公園を紹介している。
公園は、2006年にサンパウロ市の環境緑地局が発行した「緑の地図」に掲載されたものである。
すでに、市営公園の紹介を終えたので、
州営の公園を紹介している。
2番目は、カンタレーラ州立公園Parques Estaduais Cantareiraである。
この公園は、カンタレーラ山脈の全域に広がっていて、4つの部分に分かれている。
アグアス・クララス・センターNúcleo Águas Claras,
エンゴルダドール・センターNúcleo Engordador,
ペドラ・グランヂ・センターNúcleo Pedra Grande
カブス・センターNúcleo Cabuçu.
このうち、サンパウロ市域内にあるのが、ペドラ・グランヂ・センターとエンゴルダドール・センターである。
ペドラ・グランヂ・センターは紹介ので、
次はエンゴルダドール・センターの紹介である。
サンパウロ市の中心部からは、直線で北北東に約23キロ。
市域の外れになる。
住所: Avenida Cel. Sezefredo Fagundes, Alt do Nº 19.100
電話: (11) 6995-3254
E-mail :iflorest@eu.ansp.br

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開園 :土曜日、日曜日、祝祭日
開園時間 :8:00-17:00
入園料:R$ 2,00(10歳未満、60歳以上は無料)
入園規則: 採取禁止、シュラスコ禁止、ボール禁止、スケート、スケートボード禁止、楽器・音楽機器禁止
注:休暇シーズンは、火曜日から日曜日まで開園している。
12月中旬から1月下旬および7月。
雨天は閉園である。
事前に電話で開園しているかどうかを確認するのが望ましい。
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カンタレイラ州立公園のエンゴルダドール・センターの見所は多い。
サンパウロ市へ、上水道を供給するために作られた最初の設備がある。
更に、滝。
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エンゴルダドール・センターへのアプローチは次の通り。
ペドラ・グランヂ・センターの入り口は、
かなり隠れたところにある。
サンパウロ市から、アチバイア市やミナス・ジェライス州ベロオリゾンチ市に向かう時につかうフェルナン・ヂアスを使うのが一番早い。
フェルナン・ヂアスがどの道かわからない人は、この先読む必要はない。
サンパウロ市の中心部からはマルヂナル・チエテから、ドゥットラに入り、
さらにヴィラ・マリア付近でフェルナン・ヂアスにはいる。
フェルナン・ヂアスはまだ民営化されておらず、舗装状態など道路環境はよくない。
フェルナン・ヂアスに入ってしばらくは、
交通量も多い。
サンパウロ市とグァリューリョス市の市境になり、左右にフェヴェーラ(=貧民窟)が散見される。
徐々に高度を上げていき、左右の山並みが近づいてくる。
一番右の車線に崩落箇所があるので、
なるべく左側の車線を通ることお勧めする。
何年も崩落したままになっている。
フェルナン・ヂアスも、
出口の少ない道であるが、
Km80あたりに、
フェルナン・ヂアスをまたぐ形で陸橋があり、そこにはいるために右に出る。
エンゴルダドール・センターという標示はないが、
サンパウロ市へ戻るという標示がある。
ここで出ることが出来ないと、次の出口はトンネルを越えた先の
マイリポラン市まで行かなくてはならない。
フェルナン・ヂアスをまたぐ陸橋は、これが最初のものである。
これより前にはない。

陸橋を渡ると、突き当たりになっている。
そこを右折する。
ここでは、エンゴルダドール・センターなどという標示はない。

この道は、
フェルナン・ヂアスが出来る前に使われていた旧道である。
片側一車線で、道幅も広くない。
このあたりは、採石場があり、ダンプの通行が多い。
しばらく行くと、
エンゴルダドール・センターの標示が道路の右側に見える。

すぐに、
左側にエンゴルダドール・センターの標示があり、
入り口に通じる道がある。

この先は、非舗装である。
更に、道幅は狭く、
ファヴェーラと見まごうような家が並んでいる。
一瞬たじろぎたくなる。

かなり路面状態が悪いので、
落ち着いて、ゆっくりと進むしかない。
集落を抜けると、
また更に、ちょっとした突き当たりになるが、
そこを右の方に進む。
標示がある。

そのまま真っ直ぐ行くと、
エンゴルダドール・センターの入り口が見えてくる。



標示をちゃんとみていけば、それほど難しくはない。

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戻り道は、来た道とは同じではない。
旧道に出るまでは同じである。

とにかく路面が悪いので、ゆっくりと進むことが必要だ。
眼下にフェルナン・ヂアスがみえる。

旧道への合流地点。

旧道を戻り、陸橋付近まで行くが、
陸橋を渡ることなく、旧道をそのままサンパウロ方面へ下っていく。
数分行くと、
左に曲がるとサンパウロ方面という標示があるので、
そこを曲がる。
道なりに行くと2分ほどで、フェルナン・ヂアスにでる。
このフェルナン・ヂアスに出てサンパウロ市中心部に向かうのが一番速い方法である。
だが、
余裕があれば、そのまま旧道を進んでもよい。
小農場が続いている風景がながめられる。
20分ほどで、サンパウロ市北部にでる。
途中には、ファヴェーラはない。
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入り口で、
2レアルの入場料を支払って、
車のまま、中に乗り入れる。
パンフレットももらうことが出来る。

駐車場は、敷地内にある。
幾つかに別れているが、30台程度は、駐車できるようだ。


公園内に、売店はない。
あの集落に、2-3軒バールのようなものがあるので、
そこで買うことが出来るには出来るはずだが。
この入り口付近には、公園についての幾つかの掲示がある。
よく読んでおきたい。


この入り口を付近を中心として、
3つの道が延びている。

※クリックすると拡大する。
Cachoeira滝道
Macucoシギダチョウ道
Moutain Bikeマウンテン・バイク道
Cachoeira滝道は、2,536メートルあって、滝がある。
1時間30分必要となっている。
Macuco道は、646メートルしかない。
所要時間は40分。
このうち、マウンテン・バイク道は、4キロほどあるようだが、歩行者は立ち入れない。
マウンテン・バイクだけが入れるというもの。
60分必要らしい。

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このエンゴルダドール・センターは、
サンパウロ市の産業遺産をベースにしている。
19世紀になって、
サンパウロ市は、水の供給という大きな問題に直面した。
1864年に、カンタレーラ山脈のペドラ・ブランカ川の水を使用するという結論に達した。
市内に近いことと、水が良質なためである。
そして、このエンゴルダドールに、
1904年に、ポンプ場が設けられた。
更に1907年にエンゴルダドール貯水池が出来た。
入り口近くには、このポンプ場の建物が残っている。

中には、
当時の設備も、油の匂いそのままに保存されている。



また、貯水池もすぐ近い。
貯水池の堰堤である。

貯水池。

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公園の中心部には、
ポンプ場付近に幾つかの施設がある。

ピクニック場。

ビジター・センター。
ちょっとした展示がある。
トイレもここにある。
この裏には、集会場もある。

学童用に色々な資料が展示されている。


遊び場もある。

奥には行かずに、ここだけで、過ごす人もいるようだ。

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3つの道のうち、マウンテン・バイク道を除く2つに行ってみた。
マウンテン・バイクは持っているので、
そのうちトライしてみたい。
Cachoeira滝道は、
実際に行ってみると分かるが、
確かに1時間30分近くは必要である。
よって入園は遅くとも15時過ぎまでにしておかないと、
途中で引き替えさざるを得なくなる。
この道の入り口付近には、この15時過ぎになると、
監視員がいて、
遅くなると、立ち入りを禁止している。

この道は、非舗装である。
途中までは、四輪駆動車は入れるような道である。

途中で、周回道になる。

その後は、人間1人がやっと通れるような、
森の中をさまような道になる。


暗くなると、道を失うことは必定である。

基本的には、登り道であるが、
それほどきつくはない。
20分ほどで、最初の滝が現れる。

この滝は幾つかの段になっている。
水量の多い夏場のほうが迫力は増すはずだ。
下段に、5メートル四方の水溜まりがある。
夏場はここで水浴びをする人が、
結構訪れるそうだが、
あまりいっぱい来ては、お風呂になってしまいそうな広さだ。

細い道を進んでいく。
小川があったり、橋を渡ったりと楽しめる。




さらに、
山中の道を登っていくと、第2の滝が現れる。
それほどの迫力はない。

また、山道は続く。

どんどんと登っていくと、
プール程度の大きさの貯水池がある。
ここがこの滝道の折り返しである。



ここから、来た道とは別の道で戻ることになる。
徐々に道は下っていく。

そして、第3の滝が現れる。

この付近に、
「みんなが滝に近づくので、崩壊が起きている」という標示がある。
自然を守りましょうということである。

更に下っていくと、
右側に第1の滝を望める。

そして、元の道に合流する。
滝といえば、滝だが、
どれもちょっとしょぼい滝である。
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Macuco道は、短い。
40分も必要としない。

森林の中の細い周回道を歩いて、
戻ってくるだけである。


途中、小川の畔を歩くこともあって、
湿気ているし、足元も悪い。
サンパウロ市へ水を供給した管が並行して走っている。
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注意:
サンパウロの夏期の天候の特徴として、
午後になって崩れることが多いので、
午前中に入園をしたほうがよいだろう。
更に、雨が降った翌日や翌々日は、
足元が悪いことが考えられるので、
乾燥した日を選んだ方がよいかもしれない。
服装は普通でよいが、
滑りにくい靴がよいだろう。
雨具は用意しておいたほうがよい。
更に、飲用水もあった方がよい。
もっとも公園の中心部には、一応、飲用の蛇口はある。
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このエンゴルダドール・センターは、市内中心部から23キロも離れており、
山の傾斜地ということもあって、
市街地化しているところではない。
市街地周縁部のファヴェーラからも、かなり遠い。
このあたりは採石場や、観光の農場などがある。
このあたりの家は、
ファヴェーラというよりも、
こういった採石場で働いている労働者の住宅とみた方がよいだろう。
家の見た目ほど、悪いところではないようにも思える。
採石場で働いている限りは、定収があるわけで、
ファヴェーラとはかなり違う。
公園入口へ向かう道路では、
付近の住民がたむろしているようにも見えるが、
公園の開園時間では、それほど危険はないだろう。
公園内については、
人間による危害はまずないだろう。
入場が有料であることで、入園者層が絞られているからだ。
入り口が1箇所しかないからだ。
森林をかき分けて、入ってくるような無謀な人間はいないはずだ。
公園で考えられる危険は、
公園内の動植物による危険のほうが多いはずである。
時には、倒木落木の危険がある。
大きな通路には出てこないだろうが、
毒を持った蛇などがいる可能性は多い。
ただ、雨降りのあとの湿気た通路や山道では、何がでてくるか分からない。
動物に驚いて、足を滑らす危険性も多い。
公園では禁じられていることだが、
通路以外には決して入り込まないようにしなくてはならない。
監視人も、モトクロスのバイクを使用している。

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このペドラ・グランヂ・センターを訪れる人は、
少なくとも2レアルの入場料を支払える人だ。
途中の道とは別に、
中には行って駐車場に止めている車をみれば、
来園者のレベルが分かる。
だが、意外に旧道までバスでやって来て、
そのあと歩いてやって来るグループも多い。
来園者は大学生などの学生グループ。
社会活動をしているような若者グループ。
などが多い。

軽い障害者のグループもみたことがある。
貸し切りバスでやって来ていた。
もちろん、一般の家族やカップルもいる。


ここでも、意外なことに、
モンゴロイドの比率がちょっと高いのである。
ブラジルで、モンゴロイドといえば、もちろん日系人の人口が多いので、
日系人もいた。
しかし、ここでも言葉から判断するに韓国系の人の割合が高いのである。
訪れる人は多くなく、ごった返すような公園ではない。
静かな時間が流れる公園である。


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このエンゴルダドール・センターの評価。
ちょっと辺鄙なところにあるので、頻繁に行くようなところではない。
ペドラ・グランヂ・センターのように絶景が広がっているわけでもない。
ただ、山間で、静かな、ゆっくりとした時間を過ごすのには良いだろう。
贅沢な時間の過ごし方とはこういうものだろう。

ここでも、鳥だけではなく、
猿も出没する。
樹の上で、餌をむさぼっているのを見るはずだ。
群れで過ごしているようだ。



サンパウロ市は、つまらない、
どこにも行くところがないと嘆いていないで、
こういうところもあると知っておいてもよいはずである。
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入り口でもらうことが出来るエンゴルダドール・センターについてのパンフレットの一部。


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