ブラジル・サンパウロのグラフィッチ(壁絵) その266 Os gêmeos 125。
ブラジル・サンパウロの中心部に多いグラフィッチ(壁絵)。
ブラジルでは、あの壁絵の類をグラフィッチGrafittiと呼ぶ。
サンパウロの数あるグラフィッチの中でも、もっとも絵画的に鮮やかで、
かつ、その地域にマッチしている作品を描き続けている作家は、何と言っても、
有名なパンドルフォ兄弟である。
二人は、双子のなので、
Os gêmeos(=双子の意味)と名乗り、作品のそばに署名を残している。
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このOs gêmeosについては、
雑誌Pen誌で、
すでに2005年にとり上げられている。
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パンドルフォ兄弟は、多作である。
国際的に有名になった今でも、描き続けている。
彼らの多くの作品は、かなり治安的に問題があるところにある。
サンパウロ市の中心部周辺のカンブシCambuci、リベルダーヂLiberdade、ベラ・ヴィスタVela Bistaのそれも低地地区にほぼ集中している。
カンブシは彼らの出身地区で、各ブロックごとに、作品があるといえるくらいだった。
作品の撮影には、かなり手間暇がかかったところもある。
作品を発見しても、その時は周囲の治安の問題などで、撮影不可能と判断して、
最適な撮影場所やタイミングを求めて、何度も通ったところもある。
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2008年を通して、パンドルフォ兄弟の作品のみならず、
サンパウロ市内で次々とグラフィッチが、
サンパウロ市当局によって、塗りつぶされていった。
過去に紹介してきたグラフィッチのかなりの作品はもうなくなっている。
2008年の12月下旬あたりから、
「グラフィッチ狩り」の手が緩んでいるように思えていたのだが、
再び活動を活発化させているようだ。
一方、2009年に入って、
パンドルフォ兄弟の創作活動が非常に活発になっていて、
新作が次々と描かれているようだ。
新作および旧作の探索も、ひところよりやや精力的に行うようにしている。
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サンパウロ市の歴史的中心部セントロの南側にあるリベルダーヂ地区。
そのリベルダーヂの低地地区は、パンドルフォ兄弟によるグラフィッチの集中地区である。
パンドルフォ兄弟のグラフィッチにぴったりの雰囲気を持ったこの地区には、
サンパウロ市の歴史的中心部セントロの南側を抜けて、
サンパウロ市の東西を結ぶ大動脈のラヂアル・レスチ・オエスチの高架道路が走っている。
グリセーリオ通りに、この高架道路の出入り口がある。
この付近は、
パンドルフォ兄弟のグラフィッチが、密集している。
この高架道路のあたりには、以前は、
廃品回収業の集積分別の作業場と住居などがあり、無関係の者には、近づきがたかったところであったのだが、どういう訳か、いつの間にか作業場は撤収してしまった。
住民はまだいないわけではないが、かなり減っている。
その住民たちが退去した跡地には、
市によって清掃作業が進められているのだが、
長年の人間の生活跡は、簡単にぬぐい去ることは出来ない。
そして、再び住民たちは立ち戻りつつある。
立ち去った人たちと同じ人たちかどうかはわからないが、
しっかりした屋根と柱があるところにすみたいのは当然だ。
なお、立ち退きが行われたのは、グリセーリオ通りよりも東側だけである。
グリセーリオ通りから、ラヂアル・レスチ・オエスチ高架道路を西に行く入り口がある。
その入り口から本線へ進入路のスロープは、高架道路の北側のドトール・ルンヂ通りに沿っている。
ドトール・ルンジ通りに接している進入路のスロープの壁面は、
進入路が本線と同じレベルになったところで、途切れる。
途切れたところで、ドトール・ルンジ通りから、高架下を通って、反対側にまわることが出来るようになっている。
高架下は、かなり暗く、そして路面も良くないのだが、
Uターンをするために利用する車はある。
ここには、
このあたりにお住まいの方々のご職業を支援するような小さな施設もある。
そして、車が通過するので、
そう多くはないが住民の方々もおられる。
居住されておられる方もあれば、一時的にご休息の方も多い。
ここで、またもやパンドルフォ兄弟によるグラフィッチを発見してしまった。
ただ、そのグラフィッチの前には、
お住まいになっているご婦人がおられた。
おくつろぎのところを誠に申し訳ないと、
一声かけて撮影のお許しを得たのはいうまでもない。
この柵は、施設の柵なのだが、
さすがに、この柵の中に入ることはしなかった。
施設の責任者と話をすれば可能だろうが。
非常に暗く、光量が足りない中での撮影で、
ややぼけ気味だが、ご容赦いただきたい。
フラッシュを焚いて、
お休みの人たちの気分を損ねるようなことがあってはならないからだ。
高架下にはちょっと車を止めづらいので、付近に止めて、
この作品付近まで歩いていくことが必要だ。
湿っぽく、かび臭い、すえた匂いが、鼻につくところだ。
撮影は躊躇しなかった。
だが、本当はここで紹介しても良いのかどうかについて、躊躇した。
はっきり言って、
ここはもう結界を超えている。
ここは、彼らのテリトリーであり、
それを尊重し、
軽々に犯すべきところではない。
ただ、
作品の前のご婦人は、
非常にもの静かな優しい方で、
グラフィッチの撮影をしたいなどという、
突然のこちらのお願いを快く受け入れて、
撮影に便宜を図ってくださったことを、
ここに付記しておきたい。
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