ブラジル・サンパウロの中心部に多いグラフィッチ(壁絵)。
ブラジルでは、あの壁絵の類をグラフィッチGrafittiと呼ぶ。
サンパウロの数あるグラフィッチの中でも、もっとも絵画的に鮮やかで、
かつ、その地域にマッチしている作品を描き続けている作家は、何と言っても、
有名なパンドルフォ兄弟である。
二人は、双子のなので、
Os gêmeos(=双子の意味)と名乗り、作品のそばに署名を残している。
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このOs gêmeosについては、
雑誌Pen誌で、
すでに2005年にとり上げられている。
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パンドルフォ兄弟は、多作である。
国際的に有名になった今でも、描き続けている。
彼らの多くの作品は、かなり治安的に問題があるところにある。
サンパウロ市の中心部周辺のカンブシCambuci、リベルダーヂLiberdade、ベラ・ヴィスタVela Bistaのそれも低地地区にほぼ集中している。
カンブシは彼らの出身地区で、各ブロックごとに、作品があるといえるくらいだった。
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パンドルフォ兄弟の作品を発見できたときは、とてもうれしいのは事実である。
だが、それと同時に、「また、こんなところに描いて」という思いを抱くことが、ほとんどである。
その作品を見るのも、難しいところにあるのだが、
さらにそれを撮影するのがさらに大きな危険を伴うことがあるからだ。
いつも考えるのは、その作品への接近方法である。
早々簡単に近づけるところに描いてはくれていないからだ。
たとえば、交通量の多いところに描かれていて、車が高速で通りすぎる脇で、その風を感じながら、もしくはクラクションを鳴らされる中で、さっさと必要な撮影を手早く済ますといった危険もある。
だがもっとも神経を使うのは、描かれた場所の環境にかなり問題がある場合である。
いかに、その作品の場所まで、安全に、そして手早くたどり着き、撮影をして、またその場を離れて、とりあえず一息つける場所まで戻るかという、シュミレーションして、それを実行しなくてはならない。
グラフィッチを撮影するという脳天気なことをやっていることを、そのあたりに徘徊している人に理解してもらわないといけない。
そういったことに配慮しなくてはならない場所にまた作品を見つけた。
サンパウロ市の歴史的中心部セントロの西の境をとおる、通称ミニョコンとよばれる高架道路の橋脚に、パンドルフォ兄弟が作品を描いた。

ちょうど、ラヂアル・レスチ・オエスチと呼ばれる道路が、コンソラソン通りの下をくぐり抜けて、高架になるあたりの橋脚である。

このあたりの高架道路ミニョコンの橋脚には、それぞれにグラフィッチが描かれているのだが、パンドルフォ兄弟の作品を発見したのは初めてだ。
彼らの作品は、橋脚以外では、この地域でも、今までに少なからず発見していて、ここで紹介してきている。
平日の昼間は、この地域全体としては、店舗やオフィスが並び、人通りも多く、治安的には問題はない。
しかし、この高架道路に沿っては、道路に蓋をされているかたちなので、やや薄暗く、やや荒れた雰囲気がある。
特に、トンネルから高架になる部分の200メートルほどは、平日の昼間でも、あまり徒歩ではあるかない方がよいだろう。 特に東側になるセントロ側は避けるべきだ。
夜は、このあたりは、知っている人は知っていることだろうが、非常に特殊な人たちが、数十人以上街角のあちこちに立っているところである。
日暮れ頃から散見されるのだが、22時以降はもの凄いことになっている。
そのもの凄い中でも、この作品があるあたりは、さらに凄いので、気が弱い人は、車であっても、決して近づいてはならない。
その様子はいずれ別の機会に紹介できるよう準備をしている。
高架道路の下は、普通の道路で、昼でも交通量は多い。

その普通の道路を渡り、橋脚にとりついて、撮影をするのだが、全体を撮影をするためには、隙を見て、道路に出なくてはならなかった。

さらに、作品を正面から撮影するためには、どうしても注意をしなくてはならないことがあった。
作品の、先の方にお住まいになっている方々に、グラフィッチを撮影しているということを理解してもらわなくてはならない。
だから、彼らにわかるように、橋脚の周りをぐるぐると回り、まず正面からではない角度から撮影をして、アピールをしなくてはならない。

そして、最後に正面から撮影をした。



基本的に、こういったところにおられる住民は、撮影されるのを、いやがる。
当然のことだ。

そして、ここにおられる住民は、さらに撮影されたくない理由がある。
なぜなら、彼らはあるものを売っているからだ。
ブラジルでも、法的には禁止されているものだ。
日本では、芸能人の場合であれば、0.03グラムでも所持していると、大々的に家族関係まで詳細に報じられ、社会的に抹殺されるかのような、報道をされるたぐいのものだ。
彼らのところには、彼らとは世界が違うような人たちが、よく訪れている。

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